涼宮ハルヒの消失

CMより

原作既読。
涼宮ハルヒの憂鬱」は、確かキョン杉田智和のサンタクロースのモノローグから始まったと記憶している。それと同じ、ハルヒ平野綾SOS団のクリスマス会の会議から始まる本編はまさに正当な「涼宮ハルヒ」の続編。いつもの日常を描き、そこから一気に改変させられる世界の落差は衝撃的。いつものメンバーから拒絶されるキョンの絶望と、長門茅原実里や谷口@白石稔からもたらされる元の世界に戻る手がかりを与えられたときの希望のコントラストなど、物語としてレベルが高い。徐々にSOS団メンバーが集まるところを筆頭に「涼宮ハルヒの憂鬱」と対になる物語という点が強調されている。
また、長門キョンに入部届を出すシーケンスや消失したハルヒが再登場したときなど、印象の残るシーンではより印象に残るように工夫がなされており、演出も高いレベルでまとまっている。特に、長門有希の演出は相当のもので、普段みくる@後藤邑子ラヴの私でさえもくらっときてしまいそうになる破壊力*1長門役の茅原実里は普段の長門と「消失長門」の演じ分けをうまくこなしていた。ただ1カ所、本編最後の長門の一言(ここでそれがなにかについては触れないでおこう)はどちらの長門ともとれる演じ方をしており、非常に印象に残る。
元々作画レベルの高かったテレビシリーズだが、今作は劇場版であるということを差し引いてもレベルが高く、特に背景のモブキャラたちにもきちんと物語を持たせて日常生活を送らせる細かさ、環境音でだけでも周りで何が起こっているのかよくわかることなど、絶対的に非常に手の込んだ、丁寧な作りになっている。
ただ1点だけ不満を言わせてもらうならば、エンターキーを押してからの展開がゆっくりすぎること。特にキョンの自問自答は蛇足だったように思える。あのシーケンスはなくても大部分の観客はきちんと理解できるのではないか。しかしそれを差し引いてもシリーズ随一の傑作長編のアニメ化としては大成功だったと言えるだろう。

*1:いやみくるちゃんのサンタコスやおびえる表情もたまらないんですけどねw