鋼の錬金術師 シャンバラを征く者

そんな機動兵器があったらドイツは戦争に負けてないだろ!
というツッコミはさておき、テレビ版「鋼の錬金術師」の後日談にして完結編「劇場版 鋼の錬金術師 シャンバラを征く者」。手放しで大喝采を送るほどではないにしろ、2千円近い料金を払って見る価値は十分あったように思う。
エドワード・エルリック朴璐美アルフォンス・エルリック釘宮理恵の思い、ウィンリィ・ロックベル豊口めぐみの手放すことのない鞄の中身、ロイ・マスタングを「大佐」と呼び続けるリザ・ホークアイ根谷美智子以下彼のもと部下たち…。2年の月日が経っても変わらない"それ"は確かにそこにあった。
加えてヒューズ、ブラッドレイなどの現実世界での絶妙な役割、配置。スカーやラストの「出演」。
テレビシリーズをすべて見てきたものにとってそれらは紛れもない「ご褒美」であって、ホーエンハイムやラース@水樹奈々の行動に理不尽さは若干感じるものの、「ご褒美」を内包しつつ物語を完結させたスタッフには素直に拍手を送りたい。
ただ、敵役が若干役者不足に思う。尺の問題もあろうが、エッカルト@かとうかずこエド、アル、マスタングの勝負はもっと激戦にして欲しかったし、セントラルの街はもっと派手にぶっ壊してもらいたかった。もうひとりふたりエッカルトの部下として錬金術師たちの前に立ちはだかる敵がいても良かった。
それでもこれで完結させるにはもったいない作品だし、何年か後に再びその姿を何かの媒体でアニメーション作品として観たいレベルにこの作品は到達していると思う。
再会の喜びを分かち合う間もなかったウィンリィの想いやこれからエドとアルに降りかかるであろう耐え難い艱難辛苦を思うと涙せずにはいられない。という部分も完結させるにはもったいない理由のひとつだと付け加えておこう。
一瞬しか出番のなかったライラ@かかずゆみにもセリフがあったのには驚き。