Kanon #10 丘の上の鎮魂歌

来る「その日」を知らず、ただ日々を過ごすだけの存在となってしまった真琴@飯塚雅弓と、「その日」が近いことを知っていて何ができるのかと悩みながら「その日」を待つことしかできない祐一@杉田智和名雪國府田マリ子、秋子さん@皆口裕子。作画レベルの高さとかシナリオの秀逸さとか声優陣の演技力とかに着目される京都アニメーション版「Kanon」だけど、このアニメで最も優れているのはたっぷり時間をかけてエピソードを積み重ねるという演出ではないだろうか。ただ延々と日常生活を描いてきた末にこの結末に帰着するので、キャラクターへの感情移入が尋常ではない。祐一と真琴が家を出て行くときに秋子さんが何も言わずただ目頭を押さえる描写などその最たるものだ。
「泣き前提で作られたクサい話」であることには変わりないんだけど、そこに至るまでの課程がとてつもなく丁寧で完成度が高いので、それはそれでいいじゃないか。